
“福よし”は、お寿司屋さんだったのだが、お寿司を食べず仕舞いのうちに終了。
「美味い!美味い!」と盛り上がっているうちに閉店間際!
増毛の夜は早いのである。
寝静まった街。
暗闇にぽつりぽつりと灯る飲み屋の明かり。
その明かりをひとつひとつ辿る様に歩く。
灯台の明かりを頼りに港へ帰る船の様な気分である。
辿り着いた“すなっく・樹林”は昨夜の“エルザ”の並び“ろばた”の隣であった。
和風の造作が施された、落ち着いた雰囲気の店内。
カウンターから振り返って見ると、狭い座敷があり、すごく小さなテーブルが三台並んでいた。
そこだけ「ん?居酒屋?食堂?」って、ワープしちゃった様な不思議な空間。
そして、いただいたのがソルティードッグ!
いゃあ、久しぶりに飲んだなぁ。
予想外の展開だが、これが美味い!
増毛の深夜はソルティードッグなのだ。
そして“樹林”に埋蔵されていた遺跡発掘!
なんと!びっくり!
33年前の開店記念の粗品が完全な形でいくつも戸棚から出て来た!
なんと!ホッチキス!
当時のマッチも沢山!
年月が経っていてもちゃんと着火する。
マッチを擦って火をつけるなんて何十年振りだろうか。
そうなのだ!
火がつくって、こういうことだよな。
何本も擦った。
忘れていた、とても大切なことを思い出させてくれた……。
いろんな懐かしい物が、あちこちに埋蔵されていそうな。
止まったままの歴史が、大切に閉じ込められている様な町、増毛である。