
最近来るたびに、ますます町は閑散としてるなあ。
誰も歩いていない飲み屋街である。
しかし、店内は黒山の人だかり、足の踏み場も無い!
満員御礼!
……んな訳無い。
少数精鋭で盛り上がる客席。
しかも男のみ!男祭りだ!
そんな中、恵福浩司の体力勝負もクライマックス!
ウッド・ベース持ち上げ弾きも決まった!……かに見えたが何かおかしい。片足バランスもぎこちない。
ライブ終了後、背中が痛いと言っている。
今夜は深酒をせずに早くに就寝である。
そして、早朝5時過ぎ。異変は予告無しにやってきた。
ぐっすりと寝入っている私を誰かが揺り起こす。
「藤井、い、痛い……。痛、いんだ、あーっ、痛い……よ。我慢出来、あーっ、無い。あーっ、たたた……」。
目を開けると、そこには、歪んだ姿勢で顔をしかめた恵福浩司の姿が!
「朝っぱらから何なんだ……。迫真の演技か?」と一瞬思ったが、そんなことをする必然性が無い!
尋常では無い。こりゃ一大事。
マスター、吉村さんを起こして119番通報してもらい、奥さんの車で救急病院へ向かった。
「これだけ一緒に旅をしていれば、いつかはこんな日が来るとは思っていたが、ついに来たか……」。
「緊急入院、緊急手術なんてなったらどうしよう。まずどこに連絡を取れば良いか……」。
なんて、最初は身を案ずる思いであったが、すぐに「今日からのライブをどうしようか。まあ、照本さんがいるから良いとして、ベースが邪魔だよなあ。置いて行っても迷惑だし、持って歩く訳にもいかないしなあ」なんてすぐに現実的なことを考えた。
まあ、人間そんなもんであろう。
レントゲン撮って、尿検査して、医師の診断を受けたが、内蔵には問題無し。
コルセットを巻いて、鎮痛剤をもらって、とりあえず一件落着したが、またいつ再発するかわからない。
まだまだ若い気でいても、体は着実に年齢を重ねているということである。
家に帰り、もう一度寝直してから、昼食は手打ちそばの、相良藩“田”である。
古い民家そのままの、居心地の良い座敷でいただいた「田御膳」は、手打ちそばにおかずも色々と付いて、御飯のおかわりも出来る。
健康的な食事だなあ。
今回、吉村さん御夫婦には大変御迷惑おかけいたしました。
ありがとうございました。
年がら年中、あちこち飛び回る「ウクレレ抱いた渡り鳥」。
この身に、いつ、どこで、何がおこるかわからない。
「死して屍、拾う者無し」